四つの言語を国語とするスイスの文化  
ドイツ語レッスン
担当 佐藤 夕美  チューリヒ発 

いただきます

 Mahlzeit! 標準ドイツ語での「いただきます」はとても味気がありません。「Mahlzeit!」とは、つまり食事という意味。何人かとテーブルを囲んで交わす言葉がMahlzeit!。ドイツ料理は「愚直」という形容詞がぴったりですが、挨拶も料理以上に無愛想な挨拶なのです。一方、スイスでなら、En guete Appetitの省略形でEn guete!と言い合います。これを標準ドイツ語に直すと、Ein guter Appetitですが、まさしくこれなら「料理を楽しみましょう」であり「いただきます」という柔らかいニュアンスになります。スイスでは、フランス語の Bon Appetitでもオーケーです。
 さて、レストランに入って料理を注文しました。まず、飲み物が運ばれてきますが、ウエーターがグラスにワインを注ぐと、すかさず「Prost!」(Prosit!, Zum Wohl!)と言います。「乾杯」という意味で、ウェーターも挨拶をしていったのです。客は、同席の人と「Prost!」と乾杯して、ワインを飲み始めます。スイス人は乾杯好き。家族で、パーティーで、レストランで、あらゆる機会に乾杯します。フランスやスペインではあまり見られない習慣です。でも、ミネラルウォーターで乾杯するのはちょっと野暮。もちろんコーヒーやお茶ではしない。あくまでも、グラスに入ったお酒で乾杯するようです。
 まもなくスターターが運ばれてきます。今日はロケットとパルメジャーノのスライスのサラダ。これにアセイトバルサミコとオリーブ油をかけて食べるのがちょっとした流行です。お皿をお客の前に置いたウェーター、今度は「En guete!」と言いました。ここで客はウエーターに対してもDanke!と交わします。日本語訳なら「どうぞ召し上がれ」「ありがとう」といったところです。
 スイスを旅行中。En gueteをタイミング良く言えたら、食事も楽しくなるでしょう。


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