700年の伝統ある民主主義に根ざすスイスの政治
担当 佐藤 夕美  チューリヒ発 

2003年3月の出来事

2日
食品小売のボンアペティットが業務を集中化
食品小売業のボンアペティット(Bon Apetit)は経営不振から業務を縮小すると発表した。子会社のインターネットショッピングの草分けであるレ・ショップや米国資本のコーヒーショップのスターバックスから手を引くことになる。

3日
チューリヒが一番すみやすい都市
ロンドンのコンサルタント会社メルシエー(Mercer)の発表によると、このほど調査した世界212都市のうちチューリヒ市が最も住みやすい都市として、バンクーバー、ウィーン、ジュネーブと並んで評価された。スイスの都市はこの他ベルンが5位だった。最もすみ難い都市としては、バグダット、バンギ(中央アフリカ共和国)、ブラザビル(コンゴ共和国)が挙がった。主な調査項目は、医療機関の充実度、教育、公共施設、交通の便利さ、娯楽、消費の可能性など。

セネガル難民条約破棄
1月にスイスとセネガルが調印した難民通過条約をセネガル政府が一方的に破棄すると通達した。セネガル国内の批判に政府が対応し切れず、議会での承認が得られなかったことが理由。難民通過条約はスイスへの難民希望者で国籍の確認ができない人をセネガルに送り、72時間以内に現地で他のアフリカ諸国の大使館を通して国籍の確認を行うというもの。セネガル人と分かれば、セネガルに留め、スイスが認定している難民受け入れ国の場合のみスイスへ戻すことになっていた。

6日 *国立銀行リボーレート引き下げ
スイス国立銀行(スイス中銀・SNB)は通貨政策の手段となっている3ヵ月物銀行間取引金利(リボー)誘導目標圏を7日から、これまでの0.25%-1.25%から0.5%引き下げ0 - 0.75%とすると発表した。引き下げは過去2年間で7回目。国立銀行は、スイスの物価は安定しており、引き下げによるインフレ懸念はない。スイスフラン高を押さえ、投資を活性化させることと為替市場の安定を図るためと理由を挙げている。

12日

ベアー銀行が人員削減
プライベートバンキングを専門とするユリウス・ベアー銀行が2002年の決算を発表した。営業利益は11億2,790万スイスフランで前年より20.2%減少、純利益は1億8,270万スイスフランで前年より18.8%減少した。これまでに行ってきた人員削減を更に進め、従業員数は2,000人以下にする目標で、2001年半ばより450人削減する予定。

13日
蔵相が相続税の提案
カスパー・フィリガー蔵相は内閣に、連邦税ではこれまでなかった相続・贈与税の導入を提案した。ターゲス・アンツァイガー紙によると、歳入の減少とおよそ20億スイスフランの歳出の縮小に迫られており、相続・贈与税の導入が対策案として出された模様。相続・贈与税は州レベルでは廃止の方向にあり、いまだに課税しているのは6州のみ。連邦で導入した場合、21億スイスフランの増収が見込まれ、そのうち6億スイスフランは州へ配分される。2000年には下院で相続・贈与税の導入が審議され否決されている。

14日
スイス・インターナショナル航空が決算発表
スイス・インターナショナル航空が2002年の決算を発表した。売上は42億8000万スイスフランで、9億8,000万スイスフランの赤字を計上した。営業損失が6億5,800万スイスフランで、その他旧スイス航空の倒産手続き費用など特別損失が3億2,200万スイスフランとなった。こうした、会社編成の特別費用(同社によれば6億5,800万スイスフラン相当)がなければ、元来同社は7,100万スイスフランの利益を計上していたという。

19日
スイス貿易振興会理事長の報酬
スイス貿易振興会(OSEC)の理事長の報酬(年俸が28万スイスフラン、ボーナス8万スイスフラン)が法外であるという批判があることに対して、経済省経済事務局(SECO)の局長が、「市場に見合った報酬であり、理事長の能力に相応である」と擁護した。また、職員のほぼ全員が一定の政党に所属しているという批判に対しても「所属する政党は採用の際には問わない」とOSECの人事方針を擁護した。

スイス航空の解雇政策
スイス・インターナショナル航空は2月に既に、700人の解雇を計画していると発表していたがこのほどその詳細が明らかになった。パイロットの解雇については、主に前クロスエアー社の短距離パイロット169人で、外国人パイロットも減らす方針で、今後は労働許可を新しく申請することはないという。

17日

国際赤十字がイラク戦争で予算追加の必要性を訴える
国際赤十字のケーレンベルガー委員長はカルミ・レ外相と懇談した。委員長によると、国際赤十字は戦争の場合、負傷者の手当て、難民の世話、病院の活動支援、水の配給をするほか、15万人の食糧を手配しなければならなく、最初の4ヶ月は1億1,000万スイスフラン、12ヶ月で2億スイスフランの追加予算が必要という。カルミ・レ外相は、スイスは国際赤十字にスイス政府として国際赤十字への特別予算を組むことを約束した。

20日
スイス政府、国連決議なしの戦争を遺憾とする
上・下院合同会議においてスイス政府は、イラク戦争が国連の決議なしに開始されたことを遺憾であると表明した。クシュパン大統領は、「国連の決定なしの戦争は、国家間の対立。スイスは永世中立国として、中立の立場でこれに臨む」と表明した。さらに政府は、武器輸出規制を強化し、戦中の武器輸出量は戦争勃発前の3年間の武器輸出の平均を上回らないことを確認した。

21日
ミルク生産量を減量
スイスミルク製造協会とチーズ製造協会は現在のミルク生産量は供給過多にあるとの判断から、酪農家協会との話し合いで、5月1日からこれまでより2.5%減量する意向をまとめ、議会に3者の希望として提出した。連邦政府はすでに1月から2%の減量を認めている。なお、09年からは生産量配分制度は廃止され、総生産量の決定もおのずからなくなる。

イラク資金について米国政府が圧力
米国のジョン・ショー財務長官が国連の661決議を根拠にイラク国家の外国にある資産を差し押さえるよう求めた。総額は17億4,000万ドルとその利子と見られ、世界の17の銀行に預けられているという。23日のスイス国営テレビの19時半からのニュースでは、UBS銀行は現在凍結しているイラク資金を米国財務省に移管する意志があると報道した。

25日
第2のEU交渉でサービス部門を分離する方針
EUとの第2の交渉が進む中、郵便、通信、金融に関わるサービス部門の交渉については、内容が複雑であることから、他の項目とは切り離し別途交渉するよう、スイスのダイス経済相がラミー・EU通商担当相に提案した。サービス部門で合意に至らなくとも、他の項目は合意されて調印にいたることも可能となる。

有機農作物の決算
有機作物を管理する協会ビオ・スイスが発表したところによると、2002年の有機農作物(酪農も含む)の総売上は前年を13%上回り、10億5,600万スイスフランで初めて10億スイスフランの大台に乗った。国民1人が有機作物に消費する金額は144スイスフランとなった。また、有機農作物を栽培(飼育)している農家の件数6,466件で、全農家の11%が有機栽培をしていることになり、オーストリアと並んでスイスの有機栽培農家の割合は世界1だという。商品別に見ると、市場全体に占める割合はミルクが12%、にんじんとバターが20%と高く、精肉は4%のみと低い。

27日
スウォッチ・グループ業績発表
時計大手メーカーのスウォッチ・グループの2002年の業績が発表された。売上は40億6,300万スイスフランで前年より2.8%減少。利益は4億9,400万スイスフランで前年より2%減少した。売上の減少はスイスフラン高によるもので、現地通貨換算では1.1%増加しており、不況の中でもほぼ前年の業績を保っている。配当は1株につき49スイスフラン(前年比10%増)の増配を予定している。

28日
付加価値税収入増加
連邦統計局の発表によると、2000年の付加価値税収入は、前年より5.7%増加し163億スイスフランだった。付加価値税の対象となった総額は6,556億スイスフラン。付加価値税納税義務のある企業の総売上は、17,152億スイスフランで、21.5%増加した。


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リンク

  • スイス国営放送局が伝える「Swissinofo 
    http://www.swissinfo.ch 英語・ドイツ語・フランス語・日本語など

  • ドイツ語圏 お堅い日刊紙「ノイイエ・チューリヒャー・ツアイトゥング」
    http://www.nzz.ch ドイツ語・英語

  • ドイツ語圏 全国紙になれなかった日刊紙「ターゲスアンツァイガー」
    http://www.tages-anzeiger.ch ドイツ語

  • ドイツ語圏 ゴシップ記事なら「ブリック」
    http://www.blick.ch ドイツ語

  • フランス語圏 高級紙になりたがっている日刊紙「ル・タン」
    http://www.letemps.ch フランス語

  • フランス語圏 保守大衆日刊紙「ル・マタン」
    http://www.lematin.ch フランス語