700年の伝統ある民主主義に根ざすスイスの政治
担当 佐藤 夕美  チューリヒ発 

2003年2月の出来事

4日
ネスレ飲料水業界への更なる拡大
食品大手のネスレは飲料水の配達業務(HODホーム&オフィスデリバリー)を専門とするパウオウ(Powwow)グループ(本社香港)のアジア以外の営業拠点を5億6000万ユーロで買収した。買収金額は同社の売上の4.7倍。HOD業界は米国では浸透しているものの、欧州は新しい市場で、年間の成長率は15%から20%と見込まれている。

5日
ドイツ銀行がスイスのプライベート銀行を買収
ドイツ銀行はチューリヒ・ファイナンシャル・サービスの子会社であるリュ・ブラ銀行を買収した。リュ・ブラ銀行は個人の資産運用を専門とするプライベート銀行で、運用額は71億スイスフラン。

スウォッチ社、業績を発

時計の大手スウォッチ社が昨年の業績を発表した。売上は前年より40億6200万スイスフランと2.9%減少したが、スイスフラン高の影響が大きく、現地通過で換算すると1.1%増。販売個数は1億1680万個で前年より3%増加した。特に高級時計の売上が平均以上だった。

9日
国民投票が行われる
国民投票が行われた。投票項目は有権者の権利の拡張と健康保険の州の補助の拡大の2項目だった。いずれも投票者の7割が賛成し可決された。投票率は30年来最低の28%だった。可決された有権者の権利が拡張は政府案で、今後、イニシアチブにより憲法改正のみならず、法律の改正も認められるようになる。また、健康保険については、これまで基本保険のみの加入者に州が補助金を出していたが、今後は入院の際に個室を利用することができる任意保険に加入している人に対しても州が補助金を支払うことになった。

10日
ロッシュ、ディセトロニック社を買収
薬品大手のロッシュは、インシュリンを投入する装置の製造が専門のディセトロニック社を16億スイスフランで買収する。ディセトロニック社の創始者はその後、注射システム部門のみを4億2500万スイスフランで買い戻す予定。買収によりディセトロニック社は、株市場から撤退することになる。

11日
チョコレート輸出横ばい
スイスのチョコレート産業協会ショコスイスによると、2002年の国内のチョコレート総生産高は12億7900万スイスフランで、前年より0.2%減少した。輸出量は69,138トンで前年より4.7%増加した。スイス国内での販売量は前年より2.9%減少し73,048トンだった。

12日

政府、情報公開に前向きの姿勢

メツラー法務大臣は、国民に対して政府は透明化するために法律の改訂案を公表した。これまでは、公文書は公表されない限り秘密文書であると定められていたところを、公務員や議員の意見に影響を与えるもの、連邦と州の関係を悪化させるようなものなど例外を除いて、公文書は理由を挙げずとも公開要求することができるようになる。公開は有料となる。

14日
NEATトンネル工事難航
アルペン横断鉄道のトンネル工事が、スイス南部のファイド市付近で質の違う地層が交差し地盤が弱い部分に当たり難航していることが明らかになった。地層が交差していることは以前から分かっていたが、交差範囲に誤算があった。平均1日6メータで進むトンネル工事が現在は1メートルに止まっている。

17日
WTO農業自由化案に反対
スイス農業協会は、WTOが提示した農業自由化案を到底受け入れられないと反対を表明した。WTO案は、関税の実質的撤廃や生産者価格を世界レベルまで引き下げることなどを提案しており、ヨーロッパの農業に対しては厳しく、米国に対しては柔軟であると指摘している。

20日
工業界は業績が低下
スイス工業会(Swissmem)の発表によると、2002年の機会、電気、金属業界の会員290社の総売上は前年より11.7%減した。売上総金額は未発表。第4四半期でも前期比で9.8%減少しており、いまだ回復の兆しはないという。輸出は前年より6.6%減少で特に対EUで9.9%減少した。対アジアは1.9%と微増だった。

スイスに帰化した人増加
連邦外人局の発表によると、2002年は前年と比べて29%多い38,833人がスイス人に帰化した。増加の理由は、審査の効率化により未処理分が大半を占めたため。国別に見るとイタリア、ユーゴスラビア/セルビア−モンテネグロ、トルコの順に多かった。

24日
チューリヒ路面電車で粗大ゴミを回収
チューリヒ市ゴミ回収局と交通局が協力し4月末から、路面電車による市民が出す粗大ゴミの無料回収制度を導入することが発表された。回収場所は、路面電車の運行時間には使われない電車乗り入れ場で、市内5ヶ所を予定している。トラックより経済的で環境保全にも良いことが導入の理由。試験期間を経て、回収場所の増加を検討する予定。ヨーロッパでは初の試み。

25日
スイス航空大幅に営業縮小
長引く不景気の影響を理由としてスイス航空は、欧州内の路線を見直し、3月末から欧州路線で運行している飛行機40機を半分の20機に減らしこれに伴い便数も減らすと発表した。従業員も700人削減される。日本、米国など長距離便は収益も上がっており、これまで通りの便数を保つという。

クレディ・スイス業績悪化
銀行大手のクレディ・スイスの2002年の業績が発表になった。33億スイスフランの赤字を計上し、1250人の人員削減を強いられることになった。コスト削減政策によりコストは235億スイスフランと前年より23%減少したものの、収益は前年より28%減って280億スイスフランだった。同銀行は大幅な赤字を計上した理由を、金融業界全体の不振のほか、前世代の経営の失敗の後始末の影響を挙げている。

クラリアント人員削減
化学薬品会社のクラリアントは、収益の上がらないライフサイエンス部門など、付属的業務部門の売却を検討中と発表した。さらに、人員を全体の6%〜7%にあたる2万8000人の削減や6億スイスフランの増資を予定している。

26日
ロッシュ大幅赤字計上
薬品大手のロッシュの2002年の業績発表によると、最終損益が40億2600万スイスフランの大幅な赤字を計上した。所有する株の含み損(52億スイスフラン)を一括償却したことや独占禁止法に違反したビタミン部門の売却損(16億スイスフラン)が理由として挙げられた。

内閣は電話のラストマイルを解放する方針
通信市場の開放により多数の電話会社が市場に参入する中、電話の配線については依然スイスコムが独占している。いわゆるラストマイルについて政府は、4月1日から解放する方針であることを明らかにした。スイスコムはこれを不服として連邦裁判所に訴訟する意向を表明。社会民主党などもこれにレファレンダムで反対する意向にある。

27日
ABB赤字決算
エンジニアリング大手のABBの2002年の決算が発表になった。最終損益が7億8700万ドルの赤字となった。米国でのアスベスト訴訟による損失計上が影響したという。この他、金融部門の売却に伴う損失1億3500万ドルなど合計8億5300万ドルの損失を一括処理した。

チューリヒ保険大幅赤字の決算発表
保険大手のチューリヒ・ファイナンシャル・サービシスの2002年の決算が発表になった。最終損益は34億3900万ドルの赤字となった。業務改革のための特別引当金として35億ドルを計上したことが理由という。
*1993年以来最悪のスイスの景気
経済省経済経済事務局(SECO)の発表によると、02年のスイスの国内総生産の伸率は0.1%で、先進国のうち最低だった。

ネスレは好業績発表
食品大手のネスレの02年の最終損益は75億6400万スイスフランの利益となり前年より13.2%増加した。配当は1株につき7フランと増配の予定。全商品が押しなべて順調に売上を伸ばしている。地域別で見ると、北・南米およびロシア


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リンク

  • スイス国営放送局が伝える「Swissinofo 
    http://www.swissinfo.ch 英語・ドイツ語・フランス語・日本語など

  • ドイツ語圏 お堅い日刊紙「ノイイエ・チューリヒャー・ツアイトゥング」
    http://www.nzz.ch ドイツ語・英語

  • ドイツ語圏 全国紙になれなかった日刊紙「ターゲスアンツァイガー」
    http://www.tages-anzeiger.ch ドイツ語

  • ドイツ語圏 ゴシップ記事なら「ブリック」
    http://www.blick.ch ドイツ語

  • フランス語圏 高級紙になりたがっている日刊紙「ル・タン」
    http://www.letemps.ch フランス語

  • フランス語圏 保守大衆日刊紙「ル・マタン」
    http://www.lematin.ch フランス語